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LIVING IN THE HEART OF THE BEAST/HENRY COW/FROM 
N PRAISE OF LEARNING
(TIM HODGKINSON)

ヘンリー カウである。難解、とっつきにくい、印象があった。さいしょにこの人たちのファーストを買ったが、名作と言われるわけがさっぱりわからなかった。でも、どんな雑誌にもこの人たちは絶賛してあった。確かにめちゃくちゃにうまいし、自分の大好きな変拍子満載である。でも、ファーストを買って一度ぐらいでもう聞かなくなってしまった。
 去年、2002年にでサードを買ってみようと思って聞いてみた。すると、すごくはまった。一曲目のWARの性急な展開にノックアウトされた。それから、この曲のめまぐるしく、素晴らしい構成で、ドラマティックなこの曲に感動した。ドイツの歌姫のダグマー クラウゼのヴォーカルの透明感にまいって、フレッド フリスのギターとヴァイオリンにしびれて、クリス カトラーのドラムに心が躍った。何でこの人たちを今まで聞かなかったんだろうか。それから、ファーストを聞くとけっこういい!スラップハッピー&ヘンリーカウのDESPERATE STRAIGHTSのBAD ALCHEMYのジョン グリーブスのピアノとクリスカトラーの素晴らしいドラム。イン コンサートのRUINSも素晴らしかった。4枚目にもはまった。
 ストイックな姿勢、複雑な構成、素晴らしい技量、どれも素敵である。もっと深めて聞いていくといろいろと見えてきそうである。
(2月28日)

’39/QUEEN/FROM 
A NIGHT AT THE OPERA
                                    (BRIAN MAY)
 自分が買った初めてのLPがクイーンのファーストである。それなりに愛着があるバンドなんだが、なんか「アイドルバンド」を好きなんて恥ずかしくていえなかったことを覚えている。彼らに向き合えるようになったのは、それからずいぶんあとのことなんだが、当然のことながらずっと聞いてはいたので、ちゃんと曲のことはみんな知っていた。フレディが死んだ時も兄弟で彼の死を悲しんだし、自分の青春の一部が奪われたような気がした。個人的にすきなのは、オペラ座の夜までで、特にセカンドがすきなんだが、そのあとの音作りも決して嫌いなわけじゃない。でも、好きな曲一曲となると、ボヘミアン ラプソディかなと思ったのだが、それではあまりに月並みなので、「オペラ座の夜」では素晴らしい輝きを放っている’39を選んだ。
 ロジャー テイラーを中心にした美しいコーラスではじまり、ブライアン メイの12弦ギターと彼の声で切々と歌う音が心をうつ。途中の高音部のコーラスも、ジョン ディーコンのコントラバスの朴訥とした音をバックに感動的に展開する。フレディ?ここではあまり目立たない。ライブ キラーズでは、確かフレディが歌っていたような気がする。また、フレディ追悼コンサートでのジョージ マイケルのヴォーカルも素晴らしかった。でも、やっぱり原曲が一番である。ブライアンのヴォーカルの最高作である。
(2001年7月31日)

POOR WILL AND THE JOLLY HANGMAN/RICHARD THOMPSON
/FROM GUITAR ,VOCAL-FULL HOUSE-(RICHARD THOMPSON-DAVE SWABRICK)
 イギリスを代表するフェアポート コンベンションのギタリストであったリチャードトンプソンの編集盤より。この曲は元々フェアポートの代表作であるフルハウスに収録される予定であったが、リチャードトンプソンが自分の声に自信がもてなくて没にしたものをそのころの奥さんのリンダトンプソンのサポートをえて、リメイクされたもの。
 3人のデイブによる堅実なサポート(DAVE SWABRICK-FIDDLE,DAVE PEGG-BASS,DAVE MATTACK-DRUM)が素晴らしい。特にドラムのデイブ マタックスはすごい。この曲では、デイブ スウォーブリックは、マンドリンを弾いているが切ない雰囲気を出している。リンダの助けを得たリチャードのヴォーカルもいくつかのソロアルバムを通して自信を深め、フルハウス当時よりもよくなってきている。ギターもねばりっこい、とくちょうあるギターが満載である。この人のギターも多くの人に影響を与えているのがよくわかる。ダイアーストレイツのマーク ノップラーもだいぶん参考にしているんじゃないかな。
 フルハウス自体も名曲スロウスをはじめ、名演揃いである。サンディデニー脱退の後遺症を本作では吹き飛ばしてしまうほど、すごい。一流のバンドは、やることがちがう。
(2000年12月10日)

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